【エルネア】遠く甘い記憶のカケラ(妄想SS*マルタ視点)
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……タ…
…ルタ…
…マルタ…!
やだ!いかな…で……!!
ココロの奥に響く声
楽しそうに
嬉しそうに
オレの名を呼ぶ声は
最後は決まって
悲痛な叫びへと変わる
涙でぐしゃぐしゃの顔
…ごめんね
(愛してるよ…
絶対に、またキミを見つけるから…
だから…泣かないで…)
伝えた言葉は、声にならなかった
キミの頬に伝う涙を拭おうとしたけど
もう腕が動かない…まいったな…
でも、キミの声だけはきこえる
オレの名を呼ぶ、愛しい声…
途切れゆく意識の中
最期の力を振り絞って微笑みかける
オレは幸せだよ…
キミに出逢えて、オレは…ほんとうに………
.
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***
(…また、この夢か…)
幾度となく夢に出て来る声。
その声は、オレの心に痛みと愛しさを呼び起こす。
夢はいつも断片的で。
声の主も、ぼやけていてわからない。
確かなのは、オレがその声の主を心から愛している、ということだけ。
リアルに感じるこの痛みも切なさも悲しみも…
全ては愛しい想いからうまれていて。
繋がっていないたくさんのピースたちが描いているのは、
いつだって「愛」と「幸せ」。
(だから、泣きながら目覚める割に、シアワセなんだよね)
そう、【甘く切ない、シアワセな記憶のカケラ】って感じ?
湧き上がってくるどうしようもない程の愛しさに
反応するカラダを持て余しつつ、寝返りを打つ。
(年を重ねる毎に、だんだん頻度が上がっているような気がするなー)
とりあえず、コレ…なんとかしなきゃ。
朝一で来てくれた子を誘って出かけよっと♪
***
優しい両親、よく出来た兄としっかり者の弟。
第2王子として、大切に、何不自由なく育てられてきて。
それなりに楽しい毎日を送っているし、何の不満もない。
料理も美味しいし、可愛いコも多いし、ね♪
成人した途端、
恋人がほしい、早く結婚したいって言う子が多いけど
オレは、その瞬間のぬくもりと快楽があればいい。
楽しく遊べたら、それが一番じゃない?
…そう、おもっていた。
彼女に出逢うまでは。
遠く甘い、シアワセの記憶のカケラたちが繋がりだす、その時までは…
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